毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

翌朝、妃たちと共に焼け跡を調査した。
朝日が灰の上を照らしている。
鈴音は焼け跡に膝をついた。
灰を手に取る。
黒い灰。
何だったのか、もう分からない。
茶器だったのか。
茶葉だったのか。
全てが混ざり合って、灰になっていた。
梅香が茶碗の破片を拾い上げた。
「これ、覚えてる。あの日、私に淹れてくれた茶碗」
その声は悲しみに満ちていた。
蘭芳も茶筅の焼け残りを見つけた。
「あんなに綺麗だったのに……」
涙が頬を伝う。
鈴音は立ち上がった。
焼け跡を見渡す。
何も残っていない。
建物の骨組みすら、崩れ落ちている。
「もう何も残ってない……」
呟いた。
声が震える。
前世から大切にしてきたもの。
この世界で築き上げてきたもの。
全て、失われた。
紫苑が鈴音の肩を抱いた。
「でも、諦めないわ」
蓮華が頷いた。
「また作り直せる」
菊花が力強く言った。
「みんなで協力すれば、きっと」
でも鈴音は首を横に振った。
「ありがとう。でも、茶器は作り直せても、茶葉は……」
希少な茶葉たち。
何年もかけて育てた茶葉。
特別に調合した茶葉。
それらは、二度と手に入らない。
静華が焼け跡の奥を調べていた。
「みんな、来て!」
その声に、全員が駆け寄った。
静華が焼け跡の隅で、何かを拾い上げていた。
小さな袋。
焦げているが、中身は無事のようだった。