毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

「その時、あなたの権力は終わります」
皇太后の手が震えた。
「出て行きなさい」
「失礼します」
鈴音は一礼して、背を向けた。
扉に向かって歩く。
その背中に、皇太后の声が飛んだ。
「後悔するわよ」
でも鈴音は振り返らなかった。
扉を開け、出ていった。
廊下を歩きながら、鈴音の心臓は激しく打っていた。
やってしまった。
完全に敵対した。
もう引き返せない。
でも、後悔はなかった。
これが正しい道だと、信じていた。
茶園に戻った。
焼け跡が広がっていた。
黒く焦げた木材。
灰になった茶器。
何も残っていない。
鈴音は焼け跡の中央に立った。
風が吹いた。
灰が舞い上がる。
「全て、失った……」
呟いた。
でも、諦めない。
ここから始める。
もう一度、全てを作り直す。
足音が聞こえた。
振り返ると、妃たちが駆けてきていた。
梅香、蘭芳、紫苑、蓮華、菊花、静華。
全員が、心配そうな顔をしていた。
「鈴音!」
梅香が叫んだ。
「無事だったのね」
妃たちが鈴音を囲む。
「聞いたわ。襲撃があったって」
「翠蘭は大丈夫?」
「茶室が……」
口々に心配する。
鈴音は微笑んだ。
「みんな、ありがとう」