毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

でも、生きているのか死んでいるのか分からないほど、静かだった。
夜が更けていった。
鈴音は一睡もせず、翠蘭の手を握り続けた。
時折、翠蘭の呼吸を確認する。
まだ生きている。
まだ、生きている。
それだけを確かめながら、夜を過ごした。
朝日が昇り始めた頃、翠蘭の容態は安定していた。
まだ意識は戻らない。
でも呼吸は規則正しくなり、顔色も少し良くなった。
峠を越えたのかもしれない。
鈴音は翠蘭の手を離した。
立ち上がる。
決意に満ちた目。
やるべきことがある。
鈴音は部屋を出た。
皇太后の宮殿へ向かった。
護衛が止めようとしたが、鈴音は強引に押し通った。
「皇太后様にお会いします」
「茶妃様、お約束がないと……」
「構いません。通してください」
その気迫に、護衛は道を開けた。
鈴音は皇太后の私室へ乗り込んだ。
扉を開ける。
中には、皇太后・慈恵が座っていた。
朝茶を飲んでいる。
鈴音の姿を見て、眉をひそめた。
「あら、茶妃。何の用かしら」
その声は、冷たく穏やかだった。
鈴音は一礼もせず、真っ直ぐ進んだ。
「翠蘭を助ける薬をください」
皇太后は茶碗を置いた。
「何の話かしら」