毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

駆け寄ってくる。
鈴音の肩を抱く。
「無事か!」
鈴音は顔を上げた。
涙で濡れた顔。
「陛下……」
声が出なかった。
皇帝は翠蘭を見た。
血まみれの翠蘭。
「御医を!」
怒鳴った。
「すぐに御医を呼べ!」
兵士たちが走る。
皇帝は立ち上がり、燃え落ちる茶室を見た。
拳を握りしめる。
「誰が……」
低い声。
「誰がやった……」
怒り。
抑えきれない怒りが、込み上げてくる。
皇帝の目が、変わり始めた。
黒い瞳が、金色に光る。
「許さぬ……」
首筋に鱗が浮かび上がる。
「絶対に、許さぬ……」
龍化の兆し。
怒りが、制御を超えようとしていた。
鈴音は立ち上がった。
皇帝の腕を掴む。
「陛下、落ち着いて」
でも皇帝の怒りは、止まらなかった。
金色の光が、さらに強くなる。
鱗が広がる。
呼吸が荒い。
「鈴音を……」
唸るような声。
「朕の大切な者を……傷つけた……」
手の甲に、金色の爪が伸びてくる。
完全な龍化が、始まろうとしていた。
鈴音は皇帝の前に立った。
両手で、皇帝の頬を包む。
「私は大丈夫です」
目を見つめる。
「だから、落ち着いて」
でも皇帝の目は、もう人のものではなかった。