毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

炎は瞬く間に広がった。
茶室全体が、炎に包まれる。
中にある茶器、茶葉、全てが燃えている。
前世から大切にしてきた道具たち。
丁寧に調合した茶葉たち。
皇帝との思い出が詰まった場所。
全てが、炎に飲み込まれていく。
「やめて……」
鈴音の叫びは、虚しく夜に消えた。
刺客たちは、仕事を終えたとばかりに去っていった。
黒い影が、茶園から消える。
残されたのは、鈴音と翠蘭だけだった。
鈴音は翠蘭を抱えて立ち上がった。
茶室から離れなければ。
炎が、こちらにも燃え移る。
翠蘭を背負い、必死に歩いた。
茶園の外へ。
安全な場所へ。
やがて、池のほとりにたどり着いた。
翠蘭を地面に寝かせる。
肩の傷が深かった。
血が止まらない。
「翠蘭、しっかりして」
鈴音は必死に呼びかけた。
「大丈夫、すぐに御医を呼ぶから」
翠蘭は目を開けた。
弱々しく微笑む。
「お妃様……ごめんなさい……」
「何を謝るの」
鈴音の涙が溢れた。
「あなたは私を守ってくれた」
「お役に……立てなくて……」
翠蘭の声が小さくなる。
「種も……手に入らなくて……」
「そんなこと、いいの」
鈴音は翠蘭の手を握った。