毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

鈴音が呟いた瞬間、周囲の茶の木の陰から人影が現れた。
黒装束の男たち。
刺客だった。
五人、六人、七人。
鈴音たちを囲むように現れた。
「罠だった……」
鈴音は翠蘭の手を握った。
刺客たちが剣を抜いた。
月光を反射して、刃が鈍く光る。
「逃げて!」
翠蘭が叫んだ。
鈴音の手を引き、走り出した。
でも刺客たちは素早かった。
逃げ道を塞がれる。
一人の刺客が剣を振り下ろした。
鈴音に向かって。
その瞬間、翠蘭が鈴音の前に飛び出した。
「お妃様!」
剣が翠蘭の肩を切り裂いた。
血が噴き出す。
「翠蘭!」
鈴音の悲鳴。
翠蘭は倒れた。
でも鈴音を庇うように、その身体で覆いかぶさった。
「お妃様……逃げて……」
血を流しながら、懸命に言う。
「私は大丈夫だから……早く……」
鈴音は翠蘭を抱き起こした。
「一緒に逃げる!」
刺客たちが再び近づいてくる。
その時、別の刺客が茶室の方へ走った。
松明を持って。
「まさか……」
鈴音の予感は的中した。
刺客が茶室に松明を投げ込んだ。
炎が上がった。
一瞬で、茶室が燃え始めた。
乾いた木材が、激しく燃える。
「茶室が……」
鈴音の声が震えた。