毒姫の汚名を晴らした茶妃は、龍帝に溺愛されて後宮を変える

夕刻、茶室の扉を叩く音がした。
鈴音が開けると、見知らぬ男が立っていた。
旅装束。埃まみれ。疲労の色が濃い。
「茶妃様でいらっしゃいますか」
「そうですが」
男は懐から布に包まれた小さな包みを取り出した。
「辺境から参りました。皇帝陛下の密命を受けて」
鈴音の心臓が高鳴った。
「銀龍茶の種、見つかりました」
その言葉に、鈴音は息を飲んだ。
「本当ですか」
「はい。辺境の村の古い茶農家に、確かに保管されておりました」
男は包みを差し出した。
「これが種です」
鈴音は震える手で包みを受け取った。
開けようとしたが、男が止めた。
「お待ちください。ここでは危険です」
男は周囲を警戒するように見回した。
「追手がいるかもしれません。受け取りは、夜の茶園で」
「茶園で?」
「はい。今夜子の刻、茶園の中央で。私が種をお渡しします」