この恋、予定外。

言いかけて、彼はやめた。
続きを聞きたくて見上げたら、すぐ隣の距離にもう近づいていて。
たぶん、もう、物理的な距離はほぼゼロだ。

「いま、キスしたら信じる?」

「あ、あの、それは、あの…」

周りに、人がけっこうおります。と、小さく言うと、高橋さんは面白そうに目を細めた。


「すげえな。自分は周りのことなんてお構いなしに来るくせに。いざ来られると照れるのか」

─────自覚、なし。
たぶん私の顔、真っ赤だ。


ふっと落とされていた影が目の前から消えて、またちょうどいい隣に戻った。

「突然ギアチェンジされて、突進されるのも大変なんだからな」

通常運転になってしまった彼を見て、さっきの自分をちょっとだけ後悔してしまった。
キス、したかった。


まだ名残惜しい気持ちも残しつつ、彼の腕に手を回した。
その腕を、彼はまったく振りほどく気配もない。

「じゃあ、早くどこか出かけましょ」

「どこか?」

「デート!」

「……どこ行くの?森川、つねにハードモードなんだよなあ。俺たぶん、ついていけない」

「慣れますよ、そのうち」