この恋、予定外。

「…ちょっと待ってください」

自分を落ち着かせるために言ったようなセリフだ。
隣を見ればいいのに、ちょっと横を向けばいいのに、もう見れない。

「森川。餃子おちたぞ」

「い、いや今それじゃないです」

テーブルに転がった食べかけの餃子があるのは分かっている。でも、それを冷静に指摘されたところで、私の心はどうにもならない。

落ち着いた声でそんなことを言うなんて。信じられない。

「餃子どうすんだ」

「高橋さん!なんで今、それ言うんですか?」

「餃子?」

「そっちじゃなくて!今、好きって言ったじゃん!」


やっと、形になった。

遅い、とか。今さら、とか。
そういう言葉はいくらでもあるのに。ちゃんと言えたのがそれだった。
どうして私っていつもこうなんだろう。


高橋さんは、少しだけ視線を外す…かと思いきや、箸で私の落とした餃子を拾い上げて、ぱくっと食べてしまった。
そしてそのまま、ラーメンを軽く混ぜる。

それから、小さく息を吐いた。

「…このまま何も言わないと、」

ぽつり、と落ちる。

「たぶん、普通に終わると思った」

その言葉で、胸の奥が強く揺れる。

「それじゃ、なんか嫌だったから」

少しだけ視線が落ちる。

「……終わるの、嫌だった」


まっすぐじゃない言い方。でも、それがこの人らしい。
言葉が詰まって、こっちは言いたいことが言えない。

だから、珍しく高橋さんがずっと話してる。