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会議室を出て、営業フロアへ戻るために歩き出す。
同じ部署の人たちが「お疲れ様です」と軽く会釈を交わしながら行き来していて、オフィスはもう普段の明るさに戻りつつあった。
けれど私の中だけが、まだ少しだけ会議室に置いていかれているみたいだった。
─────“ここから先は俺たち営業の仕事だ”。
桐山課長の言葉が、遅れて胸の奥に落ちてくる。
それは正しい。正しいけれど、その言葉にはもう“開発”が含まれていない。
ここから先、高橋さんがいなくても、この仕事は進んでいく。
そう思った瞬間に生まれた小さな穴のような感覚を、私はまだうまく処理できないでいた。
「森川」
背後から聞こえてきた声に、足が止まる。
その響きだけで分かる。
振り返る前に、先に心臓が反応していた。
ゆっくり振り向くと、高橋さんがそこに立っていた。
会議の時と同じスーツ姿。手には自分の資料だけを持っていて、表情はいつも通り、特別なことなんてひとつもない顔をしている。
「仕事終わったあと、時間あるか?」
あまりにも普通の声でそう言われて、私は一瞬だけ意味を取りこぼした。
会議室を出て、営業フロアへ戻るために歩き出す。
同じ部署の人たちが「お疲れ様です」と軽く会釈を交わしながら行き来していて、オフィスはもう普段の明るさに戻りつつあった。
けれど私の中だけが、まだ少しだけ会議室に置いていかれているみたいだった。
─────“ここから先は俺たち営業の仕事だ”。
桐山課長の言葉が、遅れて胸の奥に落ちてくる。
それは正しい。正しいけれど、その言葉にはもう“開発”が含まれていない。
ここから先、高橋さんがいなくても、この仕事は進んでいく。
そう思った瞬間に生まれた小さな穴のような感覚を、私はまだうまく処理できないでいた。
「森川」
背後から聞こえてきた声に、足が止まる。
その響きだけで分かる。
振り返る前に、先に心臓が反応していた。
ゆっくり振り向くと、高橋さんがそこに立っていた。
会議の時と同じスーツ姿。手には自分の資料だけを持っていて、表情はいつも通り、特別なことなんてひとつもない顔をしている。
「仕事終わったあと、時間あるか?」
あまりにも普通の声でそう言われて、私は一瞬だけ意味を取りこぼした。



