生贄の湖

 ある田舎町には、都市伝説があった。
 その町にある湖に生贄を捧げれば、幸せになれる……。

 小学5年生の勇斗は、興味本位でその湖を訪れた。
 そしてそこに偶然いたアリを、湖に落としてみた。
 ……しかし何も起こらない。
 迷信か、と勇斗はその場を去った。

 しかし次の日、少し不思議なことが起こった。
 絶対100点なんてとれないと思っていたテストで、100点がとれたのだ。
 もしかしたら都市伝説のおかげかもしれない、と勇斗は思った。
 他にも生贄を捧げてみようと、勇斗はまた湖を訪れた。

 そこから勇斗の湖への生贄はエスカレートしていった。
 カブトムシを湖に落とすと、サッカークラブでスタメンに選ばれた。
 ヘビを湖に落とすと、好きな女の子に告白された。
 ネコを湖に落とすと、勇斗の父親が出世し、勇斗の家はお金持ちになった。

 勇斗は完全に都市伝説を信じ切っていた。
 次は何を生贄に捧げようかとばかり考えるようになった。

 ……しかし、それを見ていたクラスメイトたちの目は冷ややかだった。
 「なあ、知ってる? 勇斗、あの湖に生贄を捧げてるんだって」
 「えー!? だから勇斗、あんな金持ちになったの?」
 「……なんかムカつかない? 勇斗だけ幸せになってさ」

 「ねえ、勇斗をあの湖に落としちゃわない?」

 クラスメイトたちは、勇斗を湖に誘った。
 そして勇斗を湖に突き落とした。
 深い深い湖から小学生が上がれるわけもなく、勇斗は湖に沈んでいった。

 その結果、クラスメイトたちは幸せになりましたとさ。