王子は姫を愛して止まない

私は薄く自分に言い聞かせるように口元に弧をえがいていて、涙がまた、流れていることに、今度は気付かない振りをした。

足元に滴り落ちる雫が止まってから私は凪いだ心境で笑顔を浮かべて中にはいった。

「すいません、切ります…え?」

実風くんは目を見開いて私を見た。

私は小声で言った。

「さっきはごめんね。それだけ、言いに来たの。電話してて大丈夫だよ。じゃあ先教室戻ってるね」

「え、ひめ、の?」

私が扉に手を掛けて教室を出ていこうとすると、実風くんが声をかけてきた。