王子は姫を愛して止まない

実に珍しいことに、授業間での休みでも誰一人として、滝谷くんに近付かなかった。

驚きと共にこれが平和な高校生生活かぁ…と噛み締めていた。

そんな時…

小声で隣から名前を呼ばれて一度は聞こえなかったフリをしたけれど、何回か呼ばれてそちらに視線だけを向けた。

するとやはり相手は滝谷くんで、自分のノートを指差して読んでと伝えてきた。

そこには綺麗な文字がしたためられていた。

『今日は快適だった?』

なんとなくムッとして私は自分のノートにも字を書いて見せた。

『今日はまだ終わってない』

それを読んだ滝谷くんは可笑しそうにクスクスと笑って黒板に向き直った。

なんだか楽しそうな滝谷くんの綺麗な笑顔が脳裏に焼き付いてしまったようで、私は振り払うように首を振った。
そして私も授業に集中した。