優等星

「あかねちゃん、また100点!?」
美晴の声に、顔をあげる。
テスト返し中の小学校の教室は、色んな色の声で溢れ、ガヤガヤしている。私はこの特有の雰囲気が好きだった。
「漢字のテストも毎回満点だし、すごいなぁ~!!」
お見逸れしましたと言わんばかりに唸った美晴に対し、私は自慢げに腕を組んだ。
「ふふん、まあね~。でも美晴ちゃんも前より点数上がってんじゃん?勉強してたよね、凄いよ!」
「んもぉ、褒め上手なんだから!」
勢いよく抱きついてきた美晴に笑い、教室を見渡す。
美晴は褒めてくれたけど、満点は特別珍しい訳ではない。聞こえてくる会話からして、早霧くんも雪ちゃんも満点だ。毎回満点というのはたしかに珍しいのかもしれないけれど。
姉の声を思い出す。
“あのねあかねちゃん。小学校の勉強は簡単なんだから、100点は別にすごくないんだよ。しかもまだ4年生でしょ。
私も小学生の時は100点いっぱい取ってたし。高得点で「すごい」のは、中学校からなの!見てなよ、一気に難しくなるから。だからお母さんも私たちを比べないで欲しいよね。あんたが毎回100点のせいで私の80点もすごいのにあんま褒めてくれないし…。ほんと嫌になっちゃう”
調子に乗らない。高得点がすごいのは、中学生になってから。
でも、だったら他の子達は?美晴は満点ではなかったけどたくさん勉強していて、すごいと思った。「満点を取ったけどすごくない私」よりも点数が低かった子達は、どのような評価を受けるのだろう。
「あかねちゃん、ここの問題教えて!」
「あ、うん」
我に返り美晴に教える間も、そのあとも、私はずっとモヤモヤしていた。

そしてその時の姉の言葉がただの僻みだということに気づいて少しした頃、私は中学校に進学した。