ツッコミどころ満載の母に笑いつつ、家族皆が変わりないことに安堵して電話を切った。そして脳裏によぎるのは、母と同じことを言っていた意地悪な彼の顔。
ここ数日はどうしても樹ばかり思い出していたから、透也と飲んだ日がとても前のように感じる。
彼もゴールデンウィークは仕事をしていそう。映画は見ただろうか。酔っ払い男子に絡まれた時に私に言ってくれたこと、覚えているのかな……。
私が元旦那に会って、やり直したいと言われた話をしたら、同じくバツイチの彼はどんな意見をくれるのだろう。
ベランダの手すりに肘をかけて、ぼんやり物思いに耽っていた時、またしてもスマホが鳴り始めた。母がなにか言い忘れたのだろうかと、画面を見た私は目を丸くする。
「……透也?」
今まさに考えていた人の名前が表示されていて、なぜか胸がどきりと音を立てる。
彼から電話が来るなんて初めてだ。いったいなんの用なのか、神妙な気分でスマホを耳に当てる。
「もしもし」
《お疲れ。そんなところでなに黄昏れてるんだ?》
「え?」
突然そんなふうに言われ、私はただどぎまぎするだけ。電話の向こうで彼はクスッと笑い、《下だよ、下》と言う。
まさか、と手すりから少し身を乗り出し、下の道を見て目を見開く。スマホを耳に当てた彼がこちらを見上げて微笑んでいて、胸がきゅっとなる感覚を覚えた。
ここ数日はどうしても樹ばかり思い出していたから、透也と飲んだ日がとても前のように感じる。
彼もゴールデンウィークは仕事をしていそう。映画は見ただろうか。酔っ払い男子に絡まれた時に私に言ってくれたこと、覚えているのかな……。
私が元旦那に会って、やり直したいと言われた話をしたら、同じくバツイチの彼はどんな意見をくれるのだろう。
ベランダの手すりに肘をかけて、ぼんやり物思いに耽っていた時、またしてもスマホが鳴り始めた。母がなにか言い忘れたのだろうかと、画面を見た私は目を丸くする。
「……透也?」
今まさに考えていた人の名前が表示されていて、なぜか胸がどきりと音を立てる。
彼から電話が来るなんて初めてだ。いったいなんの用なのか、神妙な気分でスマホを耳に当てる。
「もしもし」
《お疲れ。そんなところでなに黄昏れてるんだ?》
「え?」
突然そんなふうに言われ、私はただどぎまぎするだけ。電話の向こうで彼はクスッと笑い、《下だよ、下》と言う。
まさか、と手すりから少し身を乗り出し、下の道を見て目を見開く。スマホを耳に当てた彼がこちらを見上げて微笑んでいて、胸がきゅっとなる感覚を覚えた。



