アラフォーバツイチ、花ざかり。

「うっちー、今結婚したくなったでしょう。僕もなんだよねぇ」

 玄関を出たところでぼんやり考えていた私の耳に、のんびりした声が届いて現実に引き戻された。

 いつの間にか隣にいたのは、わがシンシアホームズのボス、三牧(みまき)社長。優しい顔立ちでほんわかした空気を纏い、実年齢より若く見える五十五歳の男だ。

 彼も数年前に離婚していて、同じくバツイチの私を時々こうして構ってくるので、呆れつつかわしている。

「なってませんよ。ていうか、社長はずっと言ってるじゃないですか。かれこれ五年くらい」

「いやーもうね、盲腸で入院した時からひとりは寂しくて嫌だなぁと思ってるよ。具合悪い時くらい誰かに看病してもらいたいよ」

「わかります。でも、だいたいひとりでなんとかできちゃうんですよね」

「それな」

 独り身あるあるに共感し合って、お互いに苦笑をこぼした。この会社の中で離婚経験があるのは私たちだけなので、なんとなく仲間意識を持っている。

 でも私は社長とは違って、もう一度結婚したいとはあまり思わない。

「結婚はもういいんです。だいたい、好きだと思える人には離婚して以来巡り会ってませんから」
「今後どうなるかわからないよ? さっき自分で言ってたでしょ。『人生は予想外の出来事の連続』って」