アラフォーバツイチ、花ざかり。

 意外な返答に、私は思わず顔を上げた。

 さっきの発言が本心だとはあまり信じられず疑いの目を向けると、彼は得意げに口の端を持ち上げる。

「俺は彼らとは違って年代物のよさがわかる男だから」
「人をワインみたいに言わない」

 即座にツッコんでしまった。ほら、やっぱりからかわれている気がするのよね。

 苦笑して歩き続けていた時、頭に大きな手をぽんと乗せられて目を丸くする。

「真琴はいい女だよ。少なくとも俺はそう思う」

 頭を撫でて微笑まれ、みるみる顔が熱くなった。

 な、なに、その甘いセリフと仕草は……!? 不意打ちすぎて心臓が痛いくらい飛び跳ねた。

 手を離した彼は、それ以上なにも言わず隣を歩くだけで、いつもみたいに茶化さない。酔っているせい? それとも、本当にそんなふうに思ってくれているの?

 どうしよう、初めて恋をしたかのごとくドキドキしている。いや、恋とは違うけれど、たぶん……!

 でも、四十歳目前にして、忘れかけていたときめきを思い出したのは確かだ。それを悟られないよう、私は右隣を異様に意識しながら、真っ赤になっているだろう顔を俯けていた。