誰かに『好きだ』と口にしたのはいつぶりだろうか。想いを伝えたら、まるで初恋かと思うくらい初々しい気持ちになっている自分に驚く。
弱気になったり嫉妬したり、幸せが溢れたりして、俺の頭の中は彼女が占領している。どんな表情も可愛く映るし、触れたい欲求は常にある。
とはいえ、キスくらい簡単にできるかと思いきや予想以上に緊張するとか、四十歳を過ぎた男にあるまじき情けなさだ。
だが、こんな感覚も悪くないと思う自分がいる。大切にしたい人ができたことで、周りにも優しくなれている気がするから。
真琴と恋人同士になってから早くも二週間が経つが、俺の仕事が忙しくなかなかゆっくり会えていない。食事をしたり、お互いの家に行き来したりしていても、キス以上の進展はなく健全な付き合いを続けている。
この辺り、俺たちと同じように中年の域に入ってから交際を始めた人たちはどうしているのだろうか。
俺の場合、真琴から〝まだ無理!〟みたいな空気をひしひしと感じる上に、この歳でがっつくのは格好がつかないだろうと、ブレーキをかけている状態だ。正直、我慢しているのはつらいのだが。
彼女はおおかた体型やブランクを気にしているのだろう。それはお互い様だし、どんな真琴も愛せると断言できるから、その時が来たら安心して委ねてほしい。



