アラフォーバツイチ、花ざかり。

 こういうところは変わらないなと思いつつ、ひとまず問題が起こっていないことを確認する。

「本当にただ話がしたかっただけで、なにかあったわけじゃないのね?」
《ああ、ごめん。心配してくれてたんだ? 嬉しいな》

 呑気な調子にはちょっと物申したくなるけれど、とにかく何事もないようでほっとした。

 マンションに着き、エレベーターに乗り込むところで樹が言う。

《マコはなんか元気なさそうな気がする。なんとなくだけど。なにかあった?》
「っ、なんでわかるの」

 つい本音を漏らしてしまい、口をつぐんだ。今の数少ない会話で察するとは。

《そりゃあ、五年一緒にいたんだからわかるよ》

 当然のように言われ、胸がとくんと優しく鳴った。樹とは、自分が思う以上に〝夫婦〟になれていたのかもしれない。

黙り込んだままエレベーターが三階に着くのを待つ私の耳に、《どうした?》と優しい声が届く。

「ちょっと人間関係で悩んでただけ。たいしたことじゃないよ」
《じゃあ俺んとこにおいで。美味しいものたくさん食べさせてあげるし、笑わせてあげるから》

 心がふわっと軽くなる温かい言葉が、不安定な気持ちを宥めて丸くしてくれるようで、ふいに涙腺が緩みそうになる。