アラフォーバツイチ、花ざかり。

「……そうね。でも、どうするかは私が決めることだから」

 そうやって引き留めるのは、単にバツイチ仲間として心配してくれているからだよね。

 でもあなただって、元奥様から何度も連絡が来たら無下にはできないはず。

「透也にとって、藍奈さんは特別でしょう? それは私も同じ。彼は誰とも違う存在なの。よくも悪くもね」

 一度は家族になった人だから、好き嫌いの問題じゃなく放っておけない気持ちがある。ただ無視していればいいとは思えない。

 ようやく目を見て話すと、彼の険しい表情が少しだけ切なげに緩んだ気がした。腕を掴む手からも力が抜けた瞬間に、それを振り切って踵を返す。

「真琴──」
「こうやって連絡が来続けるってことは、まだ終わっていないんだと思う。だから、向き合わなきゃ」

 珍しく焦燥に駆られた調子でなにか言おうとした彼を遮り、しっかりとした口調で告げて歩き始める。透也はさすがにもう引き留めはしなかった。

 樹とやり直そうとは、今もこれからも思わない。透也が好きな気持ちを、たぶん消せそうにないから。

 約四十年も生きてきたのに、どうしていまだにうまく恋ができないんだろう。

 この間からずっとざわめいてばかりの胸が苦しくて息を吐き、負のループから抜け出せない自分に嫌気が差して下唇を噛んだ。