「あっ」と声を発して、カシャンと落ちたそれを慌てて拾う。画面が割れていないかを確認して幸い無事だったものの、表示されている名前を見て固まった。
樹だ。ゴールデンウィーク明け頃から時々電話が来るようになったのだが、私は一回も出ていない。
でも、今は好都合だ。このまま透也といても言い合いになるだけだろうし、電話を口実に今日は去ってしまおう。
「ごめん……電話来ちゃったし、行くね」
まだ鳴り続けているスマホを握り、目前の橋を渡ろうと早足で歩き出す。
「待て」
渡り始めたところでぐっと腕を掴まれ、引き留められた。
振り仰ぐと、彼がどことなく険しい表情で私を見つめている。どうやら、さっきの画面を彼も見ていたらしい。
「元旦那からだろ。出るつもりか?」
「この間からかかってきてるの。ずっと無視してるけど、もしかしたらなにかあったのかも」
そう心配する気持ちが多少あるのも事実だ。重大な問題が起こったなら家族に連絡するだろうけれど、これまでこんなに電話が来たことはないから気になる。
しかし、透也は眉間のシワを濃くする。
「だとしても、君が世話を焼くことはない。また迫られるだけかもしれないだろ」
樹だ。ゴールデンウィーク明け頃から時々電話が来るようになったのだが、私は一回も出ていない。
でも、今は好都合だ。このまま透也といても言い合いになるだけだろうし、電話を口実に今日は去ってしまおう。
「ごめん……電話来ちゃったし、行くね」
まだ鳴り続けているスマホを握り、目前の橋を渡ろうと早足で歩き出す。
「待て」
渡り始めたところでぐっと腕を掴まれ、引き留められた。
振り仰ぐと、彼がどことなく険しい表情で私を見つめている。どうやら、さっきの画面を彼も見ていたらしい。
「元旦那からだろ。出るつもりか?」
「この間からかかってきてるの。ずっと無視してるけど、もしかしたらなにかあったのかも」
そう心配する気持ちが多少あるのも事実だ。重大な問題が起こったなら家族に連絡するだろうけれど、これまでこんなに電話が来たことはないから気になる。
しかし、透也は眉間のシワを濃くする。
「だとしても、君が世話を焼くことはない。また迫られるだけかもしれないだろ」



