アラフォーバツイチ、花ざかり。

 それでも、とにかく仕事だけはミスがないように気をつけている。今日もお客様との打ち合わせをひとつ終え、淡々と事務仕事をこなしていると、電話を受けた星野ちゃんに呼ばれた。

「内海さん、お電話です。永嶋さんっていう方の婚約者さんから」

 その名前を聞いて一瞬表情が強張った。

 永嶋さんには先日プランをお渡ししたばかりなのだが、彼ではなく藍奈さんから電話が来るのは初めてだ。やや違和感を覚えるも、「ありがとう」と言って受話器を取った。

「お電話代わりました。内海です」
《こんにちは、藍奈です。この間はどうも》

 電話越しの声まで可愛らしくて、ちくちくする胸を無視して話を続ける。

「今日はどうされましたか? 先日永嶋さんにお渡ししたプランについてでしょうか」
《すみません、それについてお話が。せっかくプランを作っていただいたのに申し訳ないんですが……実は、家を建てる話が白紙になってしまって》
「えっ!?」

 つい声をあげてしまい、咄嗟に口元に手を当てた。

 プランや見積もりを作っても、他社を選ばれてそれが無駄になることは多々あるので仕方ないと思っている。家づくりを断念される方も珍しくないけれど、藍奈さんだと個人的に事情が気になってしまう。