アラフォーバツイチ、花ざかり。

「藍奈とは今さっきここで偶然会ったんだ。まさか真琴のことも知っているとは。さちいろハウスにも行ってたのか」
「うん。気になった住宅メーカーは全部行ってみようって、彼が」

 やっぱり普通に話している。大人だから表面上そうしているだけだろうか。話の内容からして彼女が再婚するのも知っているようだし。

 でも、〝藍奈〟か……。名前を呼び捨てで呼び合うのはなにもおかしくないし、私も同じだけれど、胸の奥に黒くもやもやしたものが湧いてきてしまう。

 離婚したとはいえ、このふたりは愛し合った仲なのだ。彼女は透也に身も心も愛されてきたのだと思うと、胸が押し潰されそうになる。

 無意識に紙袋を持つ手をぐっと握りしめていると、藍奈さんが明るく笑って言う。

「ふたりも知り合いだったなんてびっくりしました。でも不思議じゃないですよね、同じ職種なんだもの」

 そうか、彼女は私たちも偶然会っただけだと思っているのか。待ち合わせをしていたと知られるのもなんとなく気まずいし、これでよかったのかも。

 曖昧に微笑む私に、藍奈さんが向き直る。

「じゃあ内海さん、近々またご連絡しますね」
「あ、はい! よろしくお願いします」