アラフォーバツイチ、花ざかり。

「マコは『目ぼしい人はいないし、この先もひとりだ』と言ってましたよ。チャンスがないのは、あなたも同じなのでは?」

 落ち着いた声で俺もけん制され、その通りだよと苦笑が漏れた。

 彼女は渡さないと強気なことを言ったが、決して自信があるわけではない。彼女の心を俺に向かせるにはどうすべきか、四十年も生きているくせにまだ悩んでいる始末だ。

 だが、真琴を自分のものにしたいという気持ちだけは確かだ。

「俺も諦めたくないんですよ。俺にもう一度誰かを愛して、信じたいと思わせてくれた人は、真琴だけなので」

 わずかに口元を緩めて腰をあげた俺を、依田さんは真剣な瞳で見上げる。軽く紙コップを持ち上げて「ごちそうさまでした」と礼を言い歩き出す俺を、彼は引き止めはしなかった。

 今日、彼と話せてよかった。真琴への想いが予想以上に強くなっていることを、はっきり自覚できたから。

 俺も後悔しないように、臆病な自分とは決別して一歩を踏み出さなければ。