オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

——やっぱり、この結果を変えることはできないの?

諦めがよぎった瞬間、これまでの思い出が、一気によみがえった。

引っ越してからの翼との時間が全部。

私はもう一歩、前へ踏み出した。

「海には行かないで!!翼がいなくなるのは……嫌だよ!」

かすれた声で、必死に叫ぶ。

未来を知る私の、その言葉が——翼の足を、止めた。

もう、翼が登ろうとしている防波堤は、目と鼻の先だった。

止まった背中に一瞬驚いたけれど、そのまま足を止めずに私は走った。

翼の前へ回り込み、立ちはだかる。

「……いなくなるなんて、言ってない」

そう小さく呟く翼に、私は「そうだよね……」と小さく頷いた。

そして、しっかりと翼を見据えて、口をひらく。

「翼、お願いだから聞いて」

感情が落ち着いてくれなくて、止まっているのに息が乱れる。

「これで気持ちが変わらなかったら……もう、止めないから」

そう言うと、翼はぎゅっと唇を噛んでこちらを見つめた。

悲しみに染まって真っ黒な瞳に、身体中が震える。

「私、このあと翼が取る行動、分かるの」

思い切って伝えると、翼の眉がぴくりと動く。

「未来を見てきたの」
翼は目を見開いた。

「何言ってんの?」と言いたげな顔に、私はぎゅっと手を握りしめる。

「今から、すごく変なこと言うけど……本当なの」
そう言って、私は深く息を吸った。