オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

私がアルバムを見ている間に、翼は立ち上がって、床に広がった箱をまた探り始めた。

ガサガサと物をかき分ける音が、部屋の中に響く。

その様子を気にしながら、私はアルバムを見続けていた。

翼のお母さん、優しそう……。
産まれたときに亡くなったなんて、翼に会いたかっただろうな。

臨月の大きなお腹に手を添え、幸せそうに笑っている写真。

その笑顔を見ていると、胸がぎゅっと締めつけられた。

そのとき、ガサガサという音が止まっていることに気がついた。

静まり返った部屋に、はっとして顔を上げる。

目の前では、翼が、一冊のノートを持ったまま固まっていた。

手にしているのは、古い手帳のようだった。

翼はしばらくそれを見つめていたけれど、次の瞬間、勢いよくパタンと閉じる。

「どうしたの?」

明らかに普通じゃない様子に、思わずアルバムを置いて近づいた。

翼の揺れた瞳と、目が合う。

沢山の感情が混ざり合ったようなその瞳が、小さく震えている。

心臓がどくりと嫌な音を立てて、私は翼の手から手帳を引き抜いた。

そこには、丸い字でこう書かれていた。

——『大輔の船の夢、きっと叶うよ。私は海に出るあなたが一番好き』

——『海に出る、かっこいいあなたを、この子にも見せてあげたい』

そこに書かれた『夢』が、大きな海に出ることを指していることは、私も翼も知っている。

「……っ」

そのとき、震えを押し殺すような、小さな笑い声が聞こえた。

視界に映る、翼の手が震えている。

恐る恐る視線を上げると、翼は両目から大粒の涙を流していた。

「……ほら」
かすれた声が響く。

「やっぱり、俺が全部、壊してた……」