オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

気がつくと、私たちは翼の家の前まで来ていた。

翼は立ち止まって、こちらを振り向く。

「一緒に来てくれてありがとな。もし、抜け出したのバレて怒られたら、俺のせいにして」

優しく笑いかける翼の肩に、私は弱々しく拳をぶつけた。

今まで翼がぽつりぽつりと口にしてきた言葉が、胸の中でひとつにつながっていく。

夏祭りの日に、翼が取ろうとしている行動は——やっぱり、簡単に止められるようなものなんかじゃなかった。

「翼は、もっと自分を大切にして……」
声の震えは止められなかった。

「何かあったら聞くからって、言ったよね」
私は翼をまっすぐ見上げる。

「私は、翼の力になりたいよ……っ」
言い終えたときには、涙がこぼれていた。

突然泣き出した私に、翼は、本当に驚いた顔をしていた。

——それはそうだと思う。

しんどいのは、苦しいのは、どう考えたって翼なのに、私が泣いてどうするの。

「しっかり寝て、無理しないように治してね!」

それだけ言うと、私は逃げるように走り出した。
胸が苦しくて、涙が止まらない。

——『俺のせいで』
——『俺がいなければ』

翼が言っていた言葉が、何度も頭の中で繰り返される。

その気持ちが、どんどん大きくなって、翼は、あんな選択をしてしまったんだ。

走りながら、涙があふれる。

助けたい。
そんな気持ちから、私は翼を救いたい。

——自分の後悔をなくすためだけじゃ、私はやっぱり、足りない。