オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

そこまで話した翼は、一度立ち止まって、空を見上げた。

「そのあとからだ」
私も少し後ろで立ち止まって、その言葉の続きを待つ。

「父さんが、一日かけて遠くまで出るような漁に行かなくなった」

悲しそうな瞳に胸がぎゅっと締め付けられた。

「……俺さ、父さんがする、夢の話が大好きだった」

海外とか、もっと広い海に出て、でっかい漁をするんだって、目をキラキラさせて話してて。

懐かしそうに口にする翼は、口角を上げていたけれど、それでも瞳の奥はやっぱり悲しそうで。

「そんな、かっこいい大きな夢を持ってる父さんが、誇らしくて。だから——」

翼の声が小さくなって、その言葉はポツリと落とされた。

「俺のせいで、父さんは夢を諦めたんだって思った」

長い間胸に抱えてきたものだとわかる、ずしりとした想いは、私の足まで響いてきた。

そのとき、翼が感じた気持ちはきっと。
呪いみたいに、今でも翼の胸にこびりついているのだと思った。