オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

振り返ると、翼が教室へ戻ってきたところだった。

「先生に呼ばれてた」
どこか、大人びて見える横顔。

前回は薄らとしか感じなかった違和感が、はっきりと胸に引っかかる。

でも、私と目が合った瞬間。
翼は困ったように笑って、いつも通りの顔になった。

「なに見てんだよ!」

ぐしゃっと頭を撫でられた。
その手の温かさに驚いて、同時に胸がきゅっと締めつけられる。

「翼も見てよ!懐かしいでしょ」
お祭りの時に撮ったという、三人の変顔ショット。

美咲に見せられた翼は、おかしそうに笑いながら私に説明をしてくれた。

「地元のお祭りで、毎年三人で行ってるんだよ。今年は汐莉も行こうぜ」

一回目と、同じ言葉。
思い出を知らない私に配慮する、優しすぎる翼の言葉。

私は、ぎゅっと手のひらを握ったあと、顔を上げて笑った。

「うん。私もみんなと一緒に行きたい!」

はっきりと言った私に、健太と美咲は、少し驚いた顔をした。

翼も驚いてるかな?

そう思って、隣を見上げた私は、そこで見た表情に目を丸くする。

翼は、驚きなんて1ミリもなく、ただとても嬉しそうに、笑っていた。