「汐莉、汐莉ってばー」
名前を呼ばれて、私ははっと目を覚ました。
顔を上げると、美咲が机の横に立っている。
「珍しいね、汐莉が居眠りなんて」
くすっと笑われて、私はぼんやりと瞬きをした。
周りから聞こえるたくさんのざわめきに見慣れた机。
——学校。
ゆっくりと黒板に視線を向けると、書かれていた日付は
7月24日。
——戻った。
確かな過去の日付に、私は小さく震え出す手を机の下に隠した。
「ねえ見て!これ昨日見返してたんだ」
美咲がスマホを取り出す。
「去年の夏祭りじゃん。あはは!美咲ひでー顔!」
「え、健太の方がひどいでしょ。ちゃんと見てよ」
目の前で繰り広げられる、親しそうなじゃれ合い。
見たことのある光景を眺めながら、私はゆっくりと思い出していた。
——みんなが、夏祭りに誘ってくれた日だ。
あのときの私は、不安でいっぱいだった。
せっかく誘ってくれたのに、一緒にいるのが怖くなって。
自分を守ろうとして、誘いを断ってしまった。
——『俺らが、汐莉にとっての終わらない友達になるよ』
そのあと、追いかけてきてくれた翼が言った言葉は、今もはっきり、翼の声のままで思い出せる。
本当は嬉しかったのに、何も答えられなかった。
翼がいなくなって、ずっと、そのことを後悔していた。
最近は、翼と過ごす時間が夢みたいで。
その後悔から目を逸らすように、そんな気持ちを思い出さないようにしていたけど。
——『叶わなかったけど……自分の中では、ちゃんと終わらせることができた』
海岸でお姉さんが言った言葉が、今になって胸に突き刺さる。
助けられるなら、それが一番いい。
でも——たとえ助けられなかったとしても。
私は、この日をやり直さなきゃいけない。
自分の後悔を、消すために。
覚悟を決めるようにぐっと唇を噛んだとき、教室の扉が開いた。
名前を呼ばれて、私ははっと目を覚ました。
顔を上げると、美咲が机の横に立っている。
「珍しいね、汐莉が居眠りなんて」
くすっと笑われて、私はぼんやりと瞬きをした。
周りから聞こえるたくさんのざわめきに見慣れた机。
——学校。
ゆっくりと黒板に視線を向けると、書かれていた日付は
7月24日。
——戻った。
確かな過去の日付に、私は小さく震え出す手を机の下に隠した。
「ねえ見て!これ昨日見返してたんだ」
美咲がスマホを取り出す。
「去年の夏祭りじゃん。あはは!美咲ひでー顔!」
「え、健太の方がひどいでしょ。ちゃんと見てよ」
目の前で繰り広げられる、親しそうなじゃれ合い。
見たことのある光景を眺めながら、私はゆっくりと思い出していた。
——みんなが、夏祭りに誘ってくれた日だ。
あのときの私は、不安でいっぱいだった。
せっかく誘ってくれたのに、一緒にいるのが怖くなって。
自分を守ろうとして、誘いを断ってしまった。
——『俺らが、汐莉にとっての終わらない友達になるよ』
そのあと、追いかけてきてくれた翼が言った言葉は、今もはっきり、翼の声のままで思い出せる。
本当は嬉しかったのに、何も答えられなかった。
翼がいなくなって、ずっと、そのことを後悔していた。
最近は、翼と過ごす時間が夢みたいで。
その後悔から目を逸らすように、そんな気持ちを思い出さないようにしていたけど。
——『叶わなかったけど……自分の中では、ちゃんと終わらせることができた』
海岸でお姉さんが言った言葉が、今になって胸に突き刺さる。
助けられるなら、それが一番いい。
でも——たとえ助けられなかったとしても。
私は、この日をやり直さなきゃいけない。
自分の後悔を、消すために。
覚悟を決めるようにぐっと唇を噛んだとき、教室の扉が開いた。



