オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

あの日、私は、翼を失った苦しみでいっぱいいっぱいだった。

誰でもいいから助けてと、心の底から願っていた。

何も言えずに俯くと、お姉さんは、ほんの少しだけ肩をすくめる。

「もうわかってると思うけど」
それから、はっきりと言った。

「オルゴールは、本当に過去を変えてるよ」

——夢なんかじゃない。

その言葉が、重く胸の奥に落ちた。

ずっと、不確かであり続けたあの空間が、確かなものへと変わっていく。

「だからこそ、代償があるはずなの」

波の音が、またひとつ寄せては返す。

「たくさん変えようとすると、たくさん奪われるみたい」

——私の体感だけどね。
とお姉さんは困ったように続けた。

そう言われてしまえば、納得のいくことばかりだった。

夜、オルゴールの音と共に会いにいく翼と私の関係は、こちらの世界にいた頃と、かなり違っている。

そうなれば必然的に、何かが変わっていくということで。

私にとっての代償はつまり——。

「もし、なにか異変を感じてるなら」

答え合わせが終わる頃、お姉さんは優しく口を開いた。

「もう、やめたほうがいいかもしれないね」

それはきっと、同じ経験をしたからこそのアドバイスで。

私は、何も言えず、小さく頷くことしかできなかった。

お姉さんがその場を去っても、私はそのまま、防波堤に座り続けていた。

ただ、何度も何度も翼と一緒に見た海を、見つめながら。