オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

防波堤にたどり着いたときには、もう足に力が入らなかった。

私はその場に座り込んで、膝を抱える。
胸の奥がぐちゃぐちゃで、うまく息ができない。

怖い。

大切な人のことが、思い出ごと、感情ごと、消えていく。

そんなことが本当に起きているなんて、信じたくない。

「やだ……こんなの……」

涙が止まらない。
両手で顔を覆って、私はただ泣き続けた。

「……そんなに泣いて、何かあった?」

突然、静かな声が降ってきて、はっと顔を上げると、目の前に、ひとりの女性がしゃがみ込んでいた。

夕焼けの光を背にしたその姿は、前見たときと同じようにどこか浮世離れして見える。

長い髪が風に揺れて、頬のあたりで柔らかく光った。

「……お姉さん……」
思わず声が震える。

そこにいたのは、オルゴールをくれた、あのお姉さんだった。

その姿を確認した途端、私は堰を切ったみたいに話し始めていた。