オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

カーテンのすき間から差し込む光に目を細めながら、私はゆっくり起き上がる。

……あれ。
なにか夢を見ていた気がする。

胸の奥に、引っかかるような感覚が残り、私は首を傾げた。
でも、その中身がどうしても思い出せない。

「……まあ、いっか」
小さくつぶやいてベッドを降りた。

階段を下りると、台所から味噌汁の匂いがした。
そこに広がるのは、見慣れたいつもの朝の景色だ。

「おはよ」
鼻歌でも歌い出しそうな後ろ姿に声をかけると、勢いよく振り返ったお母さんが驚いた顔をした。

ジューっと卵が焼ける音がするのに、全然手元を見ないで固まっている。

「どうしたの?お母さん」
「だって……」
お母さんは少し戸惑った風に私の様子をうかがっていた。

「最近ずっと部屋にこもってたじゃない。話しかけても返事も少なくて」
心配そうな顔で言われて、私はきょとんとした。

「……そうだっけ」
「元気なのはいいことよ!今日は一緒にご飯食べよう!」

明るくそう言われた瞬間——背筋が、ぞくっとした。

胸の奥が、妙に軽い。

ずっと何か重たいものを抱えていた気がする。
苦しくて、胸がつぶれそうで、頭の中がそれでいっぱいだったはずなのに。