オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「そんなことまで、ありがとうございます……」

翼のお父さんは手際よく段ボールを広げ、窓ガラスに当てていく。
外から飛んできたものが割れないようにするためらしい。

「いいんですよ。慣れてるし! 翼も手伝え」
「わかってるよ。二階、お邪魔していいっすか!」

強い風が吹くたび、家の壁がぎしっと揺れるけれど、段ボールが増えていくと、家に聞こえる騒音はみるみるうちに小さくなっていった。

お母さんの案内に従って階段へ向かった翼を目で追うと、お父さんに声をかけられる。

「汐莉も教えてもらって、自分の部屋やってきなさい」
父の声に、二階へ上がろうとしていた翼が振り返った。

「俺、手伝うよ」
視線が交わって、にっと向けられた笑顔に胸がとくんと音を立てた。

二人で階段を上がり、私の部屋へ向かう。

「おじゃましまーす……」
珍しく控えめに呟く翼の様子を横目に、私はこっそりと息をついた。

あの日は、散らかっていた服を慌ててクローゼットに押し込んだから、ちょっと恥ずかしかった。

だから今回は、朝のうちにちゃんと整頓しておいたのだ。

「窓、これなんだけど……机邪魔かな?」
少し窓に重なっている机を指さすと、翼は首を振る。

「大丈夫。すぐ終わるし、俺やっちゃうわ」
翼は軽く袖をまくると、段ボールを窓に当てて手際よく固定していく。

外では相変わらず、風がごうごうと唸っていた。
それなのに、部屋の中は少し静かで、胸の鼓動ばかりがやけに大きく聞こえる。

休みの日に、こうして二人きりで会えること。

それだけで、なんだか特別な気がして……。

頼もしく段ボールを押さえる翼の横顔を見ながら、胸がどきどきする。

一回目も。
そして——今も。

この気持ちは、変わらない。