オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

違和感をかき消すように、潮干狩りの日の防波堤で見た、翼の表情を思い返す。

お母さんの話をしたときの、あの一瞬の影。

やっぱり——あれが、引っかかる。

お父さんとは、うまくやっていない、という感じではなかったし。

そこまで考えて、ふと、私の家にいる翼たち家族の姿が思い浮かんだ。

そういえば……翼と翼のお父さんが、二人そろってうちに来たことがあった。

それは確か、二人が並んでいるのを見た、数少ない記憶。

いつだったっけ。

私は、ぐるりとうつ伏せになって、もう一度絵日記を開き、ページを遡る。

ぱらり、と止まった日付が示すのは、

2026.6.30

食卓を囲む五人のイラストのある日だった。

うちの家族と、翼と、翼のお父さん。
窓の外には、斜めに打ちつける大雨。

——そうだ、台風の日だ。

今日の夜は、台風の日。
お父さんと翼の様子を、ちゃんと見てこよう。

今度こそ。何かが、見つかるかもしれない。