オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

波の音が、まだ遠くで鳴っている気がした。
けれど、その音はふわりとほどけて。

次の瞬間、私は自分の部屋の天井を見ていた。

……戻った?

いつものような眠りから覚めた感覚とは違う。
水の底から浮かび上がってきたみたいに、思考がぼんやりとしていた。

何事もなかったように、朝の匂いがする部屋の空気だけが、ゆっくりと私を現実へ引き戻していく。

私は体を起こし、いつも通り机の上の絵日記を開いた。

ぱらり、とページをめくって確認するのは、いま確かに見てきたはずの、潮干狩りの日。

どこか霞んで見えるそのページを見つめていると、ふと切ない感覚が胸を打つ。

……あんまり、楽しかった思い出でもないよなあ。

自然とそう思った。
けどすぐに違和感が私の思考を呼び止める。

え……今、私、なんて思った……?

夢の中で見た光景が、すぐに押し返してくる。

三人の輪に自然に入れて、笑えて、翼と目が合って。
ちゃんと、嬉しかったはずだ。

ぞくっと背筋が冷える感覚がした。

ほんのさっきまで確かだったはずの感情が、すり替わりかけている。

——いつも通りひとりぼっちだった。

当然のように胸に浮かんだその感覚が、ぎゅっと喉を苦しめる。

私は、絵日記を胸に抱えたまま、逃げるようにベッドへ倒れ込んだ。