オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「翼の家族は……仲良し?」
恐る恐るの質問になってしまったけれど。

「家族?」
翼は一瞬きょとんとして、それから少し照れくさそうに笑った。

その、思っていたよりずっと朗らかな表情に、今度は私が目を丸くした。

「厳しいし、仲良しかどうかはわからないけど。俺は父さん、めっちゃ尊敬してるよ」

それはとても、誇らしげな声だった。

「うち、漁師じゃん? 仲間からも頼りにされててさ。小さい頃から、かっこいいなって思ってた」

嬉しそうに語る横顔を見ていると、胸の奥がじんわりあたたかくなる。

——ちゃんと、伝わってるんだ。

翼の中に、お父さんへの尊敬が、こんなにまっすぐにある。

「お父さん、親切だよね」
そういうと、翼は嬉しそうに目を細めた。

その笑顔が嬉しくて、私は思わずさらに続ける。

「うちの家族も言ってた。大ちゃんには、引っ越したばかりでよそ者扱いされないように、すごく気を遣ってもらってるって」

「あはは。父さん、お節介なところあるから」
そう言う声は冗談めいていたけれど、頬がほんのり赤くなっているのがわかった。

謙遜しているふうなのに、その横顔はどこか誇らしげで。
本当に、自慢の父親なんだと伝わってくる。

いつも通り、楽しく盛り上がっていく会話。
笑って、うなずいて、また笑って。

その一瞬一瞬が嬉しくて、このままもっとずっと、日が暮れるまで楽しい話をしていたいと本心は叫ぶ。

——それでも、胸の奥には、もうひとつの問いが、静かに重く沈んでいた。