オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

バケツが足に当たって、コトンと小さく音を立てるたびに、胸の奥がざわついた。

一度目の今日も、私は少しだけ緊張していた。

転校してから二ヶ月目の潮干狩り。

あの頃はまだ、三人の輪の中に、どう入ればいいのか分からなくて、ぎこちなく笑っていた。

それでも「一緒にやろう」と誘ってくれたことは、確かに嬉しくて。
緊張と、ほんの少しのわくわくを胸に、この通学路を歩いた気がする。

あの日、クラスメイトたちが大声をあげて、あっという間に砂浜に広がっていくのを横目に、私は熊手を握りしめて立ち尽くしていた。

「こっちこっち!」
抱えていた不安をかき消すように、翼が大きく手を振るのが見えて。

背中を押されるように足を向けると、健太と美咲も並んで笑っていた。

「このへん掘るとけっこう出るんだよ」
翼の言葉にうなずいて、見よう見まねで砂をかく。

少し掘ると、ざく、と手応えがあって、殻の固いアサリが顔を出した。

「わ……ほんとに出てきた」
思わず呟くと、三人が一斉に駆け寄ってきて。

「すげー!汐莉やるじゃん!」
健太が大げさに叫ぶから、近くのクラスメイトまで振り向いて恥ずかしかった。

「うん、いっぱい取れてる!」
美咲が笑いながらバケツを差し出し、一緒にそっとアサリを入れてくれる。

海風がくすぐったくて顔を上げたら、その先にいた翼と目が合って。
嬉しそうに見つめるその視線に、胸の奥がとくんと鳴った。