オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「——翼っ!」

考えるより先に、体が動いていた。

助けなきゃ。
助けるためにきたんでしょ。

その一心で身を乗り出した瞬間——がしっと、肩を掴まれる。

「やめろ、危ない!」
日焼けした腕に、強い力で引き戻されて、私は涙でぐしゃぐしゃの顔で叫んだ。

「翼が落ちて……! 助けなきゃ……っ!」
涙と嗚咽で声がひっくり返る。

前へ行こうともがくけれど、大人の力はびくともしない。

「分かってるから、君はここにいて」
近くにいた漁師は私を押さえながら、仲間に大声で合図を飛ばした。

「網持ってこい! こっちだ!」
「ロープ、急げ!」

怒鳴り声が飛び交い、集まってきた何人もの腕が海へ伸びる。

見下ろした防波堤の下は、岩肌が剥き出しで波も荒い。

そこに飛び込めば、自由に泳ぐことなんてできないことは一目で分かった。

だからこそ、私の心は祈りでいっぱいになる。

お願い。今なら、まだ——。

けれど——
やがて到着した救急車の赤い光が辺りを照らしたとき。

そこに広がる光景は、これまでと何も変わらなかった。