オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「……こんな時間にどうしたの? そろそろお祭り行かなきゃ。約束、したよね?」

引き攣っているかもしれない。
それでもできるだけ、いつも通りの声で声をかける。

けれど、翼は小さく首を振った。

「……ごめん」

俯いたままの顔は夕暮れの影に隠れ、表情が読み取れない。

胸の奥がざわめき、私はとにかく言葉を探していた。

「待って——」
けれど、言葉が見つかる前に、翼は背を向けた。

迷いのない足取りで、防波堤の奥へ向かっていく。

嫌な予感が、はっきりと形を持って、私を焦らせた。

「まって、まって……! 翼!」
必死に呼びかける声が防波堤に響く。

作業をしていた漁師さんたちの視線がこちらに向くのを感じる。

結局、私の必死の声に、翼は振り向くこともなく……。

——バシャンッ。
衝突音みたいな、水を打つ大きな音を立てて、彼の姿は、波と一緒に視界から消えた。