オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「いやだ……なんで!」
息を切らしながら走り抜ける。

3回目の夏祭りも、私は防波堤へ向かって走っていた。

走り抜けた先、防波堤の先端にはすでに人だかりができている。

「もっと持ち上げろ!」
「毛布、早く持ってこい!」

荒い声が飛び交い、海からずぶ濡れの少年が引き上げられていく。

声を荒げ、必死に救出をするのはこの町の漁師たちだった。

そしてその腕に抱えられて引き上げられたのは、水を滴らせるひとりの少年だった。

——翼。

服の袖は海水で濡れ、髪から滴る水滴が防波堤の石畳を濡らしていく。

唇は青白く、ぐったりと動かない体が毛布に包まれて横たえられた。

どれだけ肩をゆすられても、ぴくりとも動かない。

……この光景は、初めて見る。

いつもより、時間はまだ早いけれど。
それでもまた、間に合わなかった。

あまりにもリアルな目の前の光景が、これは現実だと私に告げる。

足がすくみ、膝ががくがく震えて、声すら出なかった。

「しっかりしろ!」
「息してるか!?」

漁師たちのそんな怒鳴り声が、遠く離れていく。

視界がかすみ、世界がぐらりと傾いた——。