オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

次に目を開けたとき、蝉の声とカーテンの隙間から差し込む夏の日差しが、また部屋を満たしていた。

今度は、覚えている。
眠る前のことも、なり始めたオルゴールの音も。

私はすぐにスマホを手にとって、日付を確認した。

2026.8.16
その日付を確認して、ごくりと唾を飲み込む。

「汐莉ー! ちょっとこっち手伝ってー!」
一階から聞こえてくるお母さんの声は、記憶にある8月16日と全く同じだった。

続いて聞こえてくるのは、窓の外から聞こえてくる小学生の賑やかな笑い声。

気持ちを落ち着かせるように大きく息を吸って、震える手でカーテンを握りしめた。
眩しい光が差し込むのと同時に、見覚えのある後ろ姿がくるりと振り返る。

「おー、汐莉!」
片腕で日差しを遮りながら、眩しそうに笑う、その爽やかな笑顔。

……戻った。

夢なのか、過去なのか。

正直よくわからないけれど、変わりないあの日の朝を私は素直に受け入れていた。

「……おはよう、翼」

語りかけた声は、今度はちゃんと彼に届く。
翼は変わらない笑顔でまた大きな声を投げかけた。

「汐莉! 今日、18時な!」
これが夢なら、ここで何をしても、現実は変わらないのかもしれない。

でも——。
それでもやっぱり、私はこの笑顔を、最後になんてしたくない。

回数を重ねるたびにその想いだけは強く確かなものに変わっていた。