オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

意識が途切れ、次に目を開けたとき。
私は、自分の部屋のベッドにいた。

「……はぁっ」
久しぶりに、きちんと息が吸えた気がして、私は肩で呼吸を繰り返す。

「……嘘、みたい」
唇から震える声がこぼれた。

本当に起きたことだったのか、それともただの夢だったのか。

分からなくなるくらい、さっきまでの世界は鮮明だった。

少し呆然としたあと、はっとして、私はスマホをつかんだ。

表示された日付は——

2026.8.23

オルゴールをもらって、眠った翌朝だった。

「……夢、だったの……?」

救えなかったことが夢だったという安堵と、それでも翼を失った現実は変わらないという喪失感。

ふたつの感情が、同時に押し寄せる。

……何ひとつ変えられなかった。

たとえ夢でも、胸の奥が悔しさでいっぱいになる。

机の上にぽつんと置かれたオルゴールにそっと触れると、ゼンマイは夢の中で触れたときと同じように、緩んだ状態に戻っていた。

回せばまた音がなりそうな気配に、少しだけ目を見開く。

胸の奥で何かが小さく灯る感覚がした。

もし……もしも、仮に。
このオルゴールに、本当に不思議な力があったら。

そんなありえないことを考えて、胸がどくどくと大きく音を立てる。

でももし、本当に過去に戻れていたのなら——。

私は、何度でも。
何度でも、この力を借りて、翼を助けにいきたい。

今回は失敗してしまったけど、助ける方法を絶対に見つけてみせる。

涙をぬぐい、震える指でゼンマイを回した。

けれど、ゼンマイは途中で止まり、また固く、限界まで巻ききったところで動かなくなってしまった。