オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

そのとき、ピロン、と通知音が鳴り、思わず飛びつくようにスマホを開く。

画面に浮かんだのは、美咲と健太とのグループメッセージだった。

【どこにいる?】
【もう18時だぞ!】

……翼からではない。

視線が、左上に映る時刻に吸い寄せられていく。

18:00
表示された時刻に、胸がドクンと鳴った。

ふたりとのやりとりが、はっきりとよみがえる。

『……翼、遅いね?』
『まあ、あいつならそのうち来るだろ。先回る?』
『そうだね。連絡くらい入れてくれたらいいのに』
肩をすくめる健太と、スマホを見つめて、少しだけ眉をひそめる美咲。

——遅いね。
そう言ってから、どれくらい経った頃だっただろう。

神社に不穏なざわめきが広がって。

誰かが、防波堤のほうを指さして。
赤い光が、夜を染めていった。

思い出した映像と荒くなる呼吸に、いてもたってもいられず、私はアーケードを飛び出す。

人の流れとは逆に、ひとりで夜道を駆け抜けた。

向かう先は、防波堤。
赤く染まる夕焼けの残光が、背中を追い立てる。

防波堤の近くに差しかかったとき、私は足を止めた。

夜を裂くように、赤い光が点滅している。
その景色が視界に入った瞬間、手足が震えた。

……変わってない。
それは、二度と見たくない、あの日と同じ景色だった。

「……っ、はぁ……っ」
吸っても、吸っても、空気が足りなくて、視界がにじむ。

なんで……防波堤は通らなくていいはずなのに……!

心臓の鼓動が、耳の奥で暴れて、次の瞬間足元がぐらりと揺れた。