オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

私は思わず、オルゴールを両手で包み込んだ。

ぎゅっと力を込めて、ゼンマイを大きく二周回す。

——お願い。

そう心の中で呟いて、ゆっくりとその指先を離した。

チ……。

ほんの、かすかな音が鳴って。
それだけで、オルゴールは、止まってしまった。

「……え?」
拍子抜けだった。

私はもう一度、今度は、三周分、力を込めて回す。

チ……。
それでも結果は同じで、小さな音を残して不発のままゼンマイは固まってしまった。

固さが指先に残り、これ以上、回すことはできないことを確認する。

「……壊れてるじゃん」
何かが起こるどころか、音楽ひとつ聴かせてもらえない。

私は力が抜けて、そのままベッドに上半身を倒した。

……からかわれたんだ。
お姉さんの後ろ姿を思い出して、怒りよりも先に、呆れのような笑いがこぼれる。

何も起こらないのなんて、当たり前なのに。
それでも、あんな小さな箱ひとつに、願ってしまった自分がいた。

それだけ、現実を受け入れたくなかったんだ。

動かないオルゴールを見つめていると、ここが現実だと、否応なく突きつけられる。

いつものように、ぎゅっと苦しくなっていく胸に大きくため息をついた。

——いつになったら、私は、この現実を受け入れられるんだろう。

絶望にも似た思いを抱えたまま、私は、また溢れ出す涙を、枕に押しつけた。

そのまま私は、泣き疲れて眠ってしまった。

小さな寝息に紛れて、カチ、カチと微かな音が動き始めたことにも、気が付かないまま。