オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

2026.7.24
視聴覚室から並んで見た海のイラストが、あの日の言葉を鮮明に呼び戻す。

——『別にさ、遠くに行ったって、なかったことになるわけじゃないだろ』

耳の奥で翼の声が聞こえて、つーっと、涙が頬を伝う。

日記に落としてしまわないように。
大事な思い出が、にじんでしまわないように。

慌てて涙を拭って、そっと絵日記を閉じた。

ベッドに倒れ込むと、今度は目尻から涙が静かに流れ落ちていく。

こんなにたくさん、描いていた。

友達なんていらないと思っていたはずなのに。

——なんで、今になって、分かっちゃうの。

止まらない涙を隠すように、右腕で目元を覆う。

——『俺らが、汐莉にとっての終わらない友達になるよ』

あのとき、私はちゃんと返事ができなかった。

だけど、本当は、そうなりたかった。

もし、遠くに行っても、変わらず友達でいられる相手がいるとしたら——。

それは、翼たちがいいって、もう、とっくに思っていた。

——今更気づいたってもう、その声は、届かない。

胸の奥がぎゅっと縮んで、息がうまくできなくなった。

ちゃんと言葉にして伝えたかった。
あのとき、怖くて言えなかった本当の気持ちを。

「離れても、会おうと思えばすぐ会えるって、言ったじゃん。翼……」

絵日記を抱きしめたまま、私は、声を殺して泣いた。