オルゴールが鳴る夜、何度でもきみの元へ

「夏祭り、なんで行かねーの?」
しばらくの沈黙のあと、翼はその話題を口にした。

「あいつらのこと、苦手?」
冗談めいた言い方ではあったけれど、探るような瞳に小さくうつむく。

そう思われたって仕方がない。
このまま、何も言わないでいよう。
いつもみたいに、曖昧に笑って終わらせればいい。

そう思ったのに、なぜか、今だけはそれができなかった。

翼には、誤魔化したく、なかった。

「……違う」
声が勝手に落ちて、彼の視線が私に向くのを感じる。

本音を言うことは、どうしてこんなに怖いんだろう。

「……ずっとね、友達なんていらないって、思っていたの」
震えた声が、静かな視聴覚室に落ちた。

「私、怖がりだし……慎重だし。簡単に人と仲良くなれるタイプじゃないから」
ぽつりぽつりと言葉が落ちて、一緒になって重たい感情が溢れ出す。

「やっと心を開ける友達ができたと思ったら……また転校で、ひとりになるのが辛かった」
何度も繰り返した景色が、胸の奥で重なった。

「どんなに頑張ってつくった友達でも、結局なかったことみたいになるのが悲しくて」
言葉が途切れて、代わりに、重たい空気が落ちる。

「だから……いつの間にか、最初から頑張らなければいいんだって思うようになった」
指先が、ぎゅっと制服をつかむ。

翼は、私の話に静かに耳を傾けていた。

「そしたら、今度は……友達を作るのが、怖くなっちゃって」
そこまで言って、やっと気づく。

なんでだろう。
なんで、私、翼にこんなこと、言ってるんだろう。