三連休ということで、生配信だけではなく、ダンスレッスンも頑張った。
だって一か月後のエンドさまのソロライブで踊らなきゃいけないんだもん。
桐生は、「今でも十分ダンスはうまい」とはいってくれている。
だけどわたし自身は、自分のダンスにまだまだ満足していない。
今はまだ普通の人よりも少しうまいぐらいだと思っている。
だからこそ、エンドさまやライブに来るおむすびたちだけじゃない。
自分を納得できるダンスが踊れるようになりたいんだよね。
【小珠ちゃんの絶望飯の動画おもしろかったよ】
【わたしまだ一日目しか観てないけど、すごくいいよね。続きみよ】
【ドレスがすごくきれいなのに、食べてるものが囚人みたいなんだって】
SNSでは、小珠の絶望飯(ご褒美なんだけどね)がちょっとした話題になっていた。
よしよし。妥協しなくてよかった。
ん? 食べてるものが囚人みたい? 失礼な!
月曜日。
サボりたい衝動を必死で抑えつつ、学校へ。
桐生に早く「企画成功したよ」っていってやりたい。
ああ、朝日がまぶしい……。足元がフラつく……。
「おいおい。朝から死にそうな顔してるなー」
教室に入ろうとしたところで、桐生の暴言が聞こえてくる。
「なによ……朝から……」
わたしが小声でいうと、桐生はいう。
「ちょっと来い」
「やだ」
「話があるんだよ」
そういって桐生に強制的に屋上に連れて行かれた。
今のわたしは、必死で抵抗する気が起きない。
桐生は屋上に誰もいないことを確認するとわたしにいう。
「なんかやつれてないか?」
「うん、元気だよ」
「ぜんぜん元気そうじゃないだろ……」
「大丈夫。目玉焼きに醤油はかけたから」
「なにいってんだ。つーか、昨日は遅くまでディスコで話してたみたいだけど寝たのか?」
桐生の言葉にハッとする。
わたしはポケットからペットボトルを取り出して飲む。
「なんだ急に。喉乾いたんならおれがおごってや……まさか、それ」
「濃い目のカフェオレ。眠気覚まし」
「眠気覚ましって、昨日は徹夜じゃないだろうな?」
「二時間寝たからOK」
「ぜんっぜんOKじゃねーよ」
「むしろ二時間寝てるときはいいほう。四時過ぎても起きてたらそのまま寝ないようにすると遅刻しないよ」
「なんだそのダメなライフハック」
「えへへ。ライフハックってほどでもないけど」
「なにひとつ褒めてねーよ!」
桐生はビシッというと、わざとらしくため息をつく。
「確かに生配信やダンスレッスンの強化でやることも多いだろうけど、少しは寝ろよ」
わたしはカフェイン効果で少しだけクリアになった頭で聞く。
「ねぇ、桐生はわたしの三連休中の配信観てくれた? ぜ……ご褒美飯のやつ」
「ああ。観たよ。おもしろかった」
「本当? よかったぁー」
わたしはそういうと、安心してその場に座り込んだ。
今日は太陽の光が強い。
だから屋上のコンクリートの冷たさが心地よい。
わたしはその場にゴロンと寝ころんだ。
「おいおい。こんなところで寝るな」
「五分だけ」
「本当だな? わかったよ。おれが起こしてやるから少し寝ろ」
「ありがと」
「……やけに素直だな」
「あの配信、おもしろいっていってくれたから……安心した……」
「自分の配信とかボイトレ強化してるから遅れたけどな。あとでぜんぶ観返したから」
桐生の声がどんどん遠くなる。
そっか。桐生もボイトレ頑張ってるんだ……。じゃあ余計に歌がうまくなるじゃん。
「配信中、いつも通りスパチャも投げた。まあ、ちょっとしたメッセージを……」
桐生がなにかをいっている。
でもほぼ夢の中にいるわたしには、その言葉が理解できない。
「おれがそばにいるから、いくらでも寝てろ」
ふわっと温かい大きな手が、頭をなでた。
ああ、これは夢か。
エンドさまが、わたしの頭をなでてくれている。
なんて幸せな夢なんだろう。
結局、わたしは休憩時間いっぱい使って寝ていた。
桐生は本当に付き合ってくれていたけど。
「星谷のせいでおれまで授業にギリギリになった」と文句をいっていた。
相変わらずだなあ。
それにしても、夢の中でエンドさまからなでられたのリアルだったな。
いまだに感触が残ってる。
でも、エンドさまの中身って桐生なんだよね……。
だけどなぜか前よりはガッカリしなくなったな。
慣れって怖い。
だって一か月後のエンドさまのソロライブで踊らなきゃいけないんだもん。
桐生は、「今でも十分ダンスはうまい」とはいってくれている。
だけどわたし自身は、自分のダンスにまだまだ満足していない。
今はまだ普通の人よりも少しうまいぐらいだと思っている。
だからこそ、エンドさまやライブに来るおむすびたちだけじゃない。
自分を納得できるダンスが踊れるようになりたいんだよね。
【小珠ちゃんの絶望飯の動画おもしろかったよ】
【わたしまだ一日目しか観てないけど、すごくいいよね。続きみよ】
【ドレスがすごくきれいなのに、食べてるものが囚人みたいなんだって】
SNSでは、小珠の絶望飯(ご褒美なんだけどね)がちょっとした話題になっていた。
よしよし。妥協しなくてよかった。
ん? 食べてるものが囚人みたい? 失礼な!
月曜日。
サボりたい衝動を必死で抑えつつ、学校へ。
桐生に早く「企画成功したよ」っていってやりたい。
ああ、朝日がまぶしい……。足元がフラつく……。
「おいおい。朝から死にそうな顔してるなー」
教室に入ろうとしたところで、桐生の暴言が聞こえてくる。
「なによ……朝から……」
わたしが小声でいうと、桐生はいう。
「ちょっと来い」
「やだ」
「話があるんだよ」
そういって桐生に強制的に屋上に連れて行かれた。
今のわたしは、必死で抵抗する気が起きない。
桐生は屋上に誰もいないことを確認するとわたしにいう。
「なんかやつれてないか?」
「うん、元気だよ」
「ぜんぜん元気そうじゃないだろ……」
「大丈夫。目玉焼きに醤油はかけたから」
「なにいってんだ。つーか、昨日は遅くまでディスコで話してたみたいだけど寝たのか?」
桐生の言葉にハッとする。
わたしはポケットからペットボトルを取り出して飲む。
「なんだ急に。喉乾いたんならおれがおごってや……まさか、それ」
「濃い目のカフェオレ。眠気覚まし」
「眠気覚ましって、昨日は徹夜じゃないだろうな?」
「二時間寝たからOK」
「ぜんっぜんOKじゃねーよ」
「むしろ二時間寝てるときはいいほう。四時過ぎても起きてたらそのまま寝ないようにすると遅刻しないよ」
「なんだそのダメなライフハック」
「えへへ。ライフハックってほどでもないけど」
「なにひとつ褒めてねーよ!」
桐生はビシッというと、わざとらしくため息をつく。
「確かに生配信やダンスレッスンの強化でやることも多いだろうけど、少しは寝ろよ」
わたしはカフェイン効果で少しだけクリアになった頭で聞く。
「ねぇ、桐生はわたしの三連休中の配信観てくれた? ぜ……ご褒美飯のやつ」
「ああ。観たよ。おもしろかった」
「本当? よかったぁー」
わたしはそういうと、安心してその場に座り込んだ。
今日は太陽の光が強い。
だから屋上のコンクリートの冷たさが心地よい。
わたしはその場にゴロンと寝ころんだ。
「おいおい。こんなところで寝るな」
「五分だけ」
「本当だな? わかったよ。おれが起こしてやるから少し寝ろ」
「ありがと」
「……やけに素直だな」
「あの配信、おもしろいっていってくれたから……安心した……」
「自分の配信とかボイトレ強化してるから遅れたけどな。あとでぜんぶ観返したから」
桐生の声がどんどん遠くなる。
そっか。桐生もボイトレ頑張ってるんだ……。じゃあ余計に歌がうまくなるじゃん。
「配信中、いつも通りスパチャも投げた。まあ、ちょっとしたメッセージを……」
桐生がなにかをいっている。
でもほぼ夢の中にいるわたしには、その言葉が理解できない。
「おれがそばにいるから、いくらでも寝てろ」
ふわっと温かい大きな手が、頭をなでた。
ああ、これは夢か。
エンドさまが、わたしの頭をなでてくれている。
なんて幸せな夢なんだろう。
結局、わたしは休憩時間いっぱい使って寝ていた。
桐生は本当に付き合ってくれていたけど。
「星谷のせいでおれまで授業にギリギリになった」と文句をいっていた。
相変わらずだなあ。
それにしても、夢の中でエンドさまからなでられたのリアルだったな。
いまだに感触が残ってる。
でも、エンドさまの中身って桐生なんだよね……。
だけどなぜか前よりはガッカリしなくなったな。
慣れって怖い。



