「あー。でも、もっとこう、小珠らしい企画がいいかなあ。たとえば――」
そんなことをぶつぶつとつぶやいていると、視線を感じた。
桐生と目が合い、奴はふいと視線をフェンスのほうに向ける。
なんでまだいるんだよ~~~!
「ねぇ、桐生。用事が終わったんなら教室戻りなよ」
わたしの言葉に、桐生がムッとした表情でいう。
「おれがとなりにいちゃ悪いか」
「悪いでしょ」
わたしがそういうと、桐生は一瞬、すごく悲しそうな顔をした。
え? なんで? 本気でショック受けてる?
わたしは、あわててこう付け足す。
「わ、わたしは教室いってもひとりだし。だけど桐生はお昼ご飯を食べるともだち、たくさんいるでしょ!」
わたしがそういうと、なぜか桐生はその場に腰をおろした。
それからお弁当を広げる。
え? なに? 嫌がらせなの?
「確かに話は終わった。で、おれはここで勝手に昼飯を食う」
桐生はそれだけいうと、お弁当を食べつつ片手でスマホを見ている。
こいつといっしょの空間でお昼を食べたくない。
だけど教室にも戻りたくない。あとはひとりになれるようなところ……ここぐらいしかないんだよね。
わたしはため息をついて、しかたなく座ってお弁当を広げる。
視界に桐生が入るのが嫌だな。
「お弁当マズくなっちゃう」
うっかり本音が出てしまい、ちらりと桐生を見る。
すると、桐生はわたしの頭をガシッとつかんだ。
それからわたしの頭を両手で左右に振りながらいう。
「さっきから黙って聞いてればいいたいこといいやがって!」
「ギャーーー! 暴力反対!」
「さっきから星谷はずっとおれの悪口いってるお返しだ!」
「悪口じゃなくて本音だからーーー!」
「それがたち悪いんだよ! つーか髪の毛サラサラだな!」
桐生はそういうと、わたしから両手をパッと離した。
軽くとはいえ、脳みそをシャッフルされ、なんだかクラクラする。
「桐生、あんたよくも……」
わたしがそういって桐生を見ると、なぜかその顔は真っ赤だった。
「え? なに? わたしの頭を振り回しておいて、疲れてる?」
「余計なエネルギーをつかった……。星谷には敵わないことがわかった……」
「よくわからないけど、反省してるならいいや」
桐生はそそくさと立ち上がっていう。
「企画、せいぜい頑張れよ。期待してる」
そういった桐生の顔は、笑っていなかった。
なんだか気まずそうな顔。
これは絶対に期待なんかしてないな。むしろ失敗すると思ってる。
桐生が出ていったあと、わたしはこぶしをぐっ握る。
絶対に企画動画、成功さるんだから!
企画で度胸つけて、ダンスレッスンもいつもより頑張って……。
それでライブでエンドさまより目立ってやるんだもん!
エンドさま以上の伝説になってみせるっ!
必ず桐生に土下座させてやるんだから。
「にゃんにゃんにゃーん。三毛音小珠だよ~」
わたしはそういって手を振った。
今日はいつもの生配信とはちがう。
目の前にはテーブルがあり、そこにはカップラーメン、ジャンボカツ(駄菓子)バナナオレが並んでいる。
「今日から『コンビニ商品だけでご褒美飯・三日間』チャレンジしていくよ~」
いわゆる撮影→編集の企画はやめた。
どうせなら生配信しながら企画をしようと思ったから。
雑談枠+企画ものみたいなイメージだ。
そして、企画の名前通りの内容。
コンビニの商品でわたしがご褒美だと思える商品や、食べたい商品で三日間過ごすというもの。
企画内容はシンプルだけど、小珠の好みがわかると親近感をもらってもらえそう。
そして、この企画は実は内容はさほど重要ではない。
むしろ企画内容は引き立て役だ。
【わああ、小珠ちゃんの衣装、お姫様みたーい】
【ドレスきれい。ティアラも似合ってる】
【それなのに部屋がいつも通りでギャップすごい(スパチャ三千円)】
そうなのだ。
実は、イラストレーターさんに企画の衣装を描いてもらった。
濃紺のドレスに、あちこちに小さな星が散らばったデザイン。
頭に乗っているのは、月モチーフのティアラ。
この衣装、この企画のために描いてもらったわけではない。
以前、イラストレーターさんと話したときに、「新曲のMVの衣装、ボツになったけど気に入ってたのはあるんですよね」という話を聞いて、その衣装を見せてもらったら、これがまたすごくきれいで。
これをボツにするなんてもったいない! いつかなにかで使わせてもらおう。
それを思い出して、イラストレーターさんに直接交渉したらOKをもらえた、というわけ。
こんな素敵なドレスを着られるのなら、企画は『コンビニ商品で三日間』じゃなく、『コンビニ商品でご褒美飯』にしよう、と考え直した。
つまり、これは小珠の初の企画ではあるものの、このドレスを見てほしいという気持ちが強い。
実際に飼い主たちからの反応もいいし。
背景はいつもの小珠の部屋(のイラスト)なので、普通の女子の部屋にプリンセスがいるってのはシュールでいい。
そんなことをぶつぶつとつぶやいていると、視線を感じた。
桐生と目が合い、奴はふいと視線をフェンスのほうに向ける。
なんでまだいるんだよ~~~!
「ねぇ、桐生。用事が終わったんなら教室戻りなよ」
わたしの言葉に、桐生がムッとした表情でいう。
「おれがとなりにいちゃ悪いか」
「悪いでしょ」
わたしがそういうと、桐生は一瞬、すごく悲しそうな顔をした。
え? なんで? 本気でショック受けてる?
わたしは、あわててこう付け足す。
「わ、わたしは教室いってもひとりだし。だけど桐生はお昼ご飯を食べるともだち、たくさんいるでしょ!」
わたしがそういうと、なぜか桐生はその場に腰をおろした。
それからお弁当を広げる。
え? なに? 嫌がらせなの?
「確かに話は終わった。で、おれはここで勝手に昼飯を食う」
桐生はそれだけいうと、お弁当を食べつつ片手でスマホを見ている。
こいつといっしょの空間でお昼を食べたくない。
だけど教室にも戻りたくない。あとはひとりになれるようなところ……ここぐらいしかないんだよね。
わたしはため息をついて、しかたなく座ってお弁当を広げる。
視界に桐生が入るのが嫌だな。
「お弁当マズくなっちゃう」
うっかり本音が出てしまい、ちらりと桐生を見る。
すると、桐生はわたしの頭をガシッとつかんだ。
それからわたしの頭を両手で左右に振りながらいう。
「さっきから黙って聞いてればいいたいこといいやがって!」
「ギャーーー! 暴力反対!」
「さっきから星谷はずっとおれの悪口いってるお返しだ!」
「悪口じゃなくて本音だからーーー!」
「それがたち悪いんだよ! つーか髪の毛サラサラだな!」
桐生はそういうと、わたしから両手をパッと離した。
軽くとはいえ、脳みそをシャッフルされ、なんだかクラクラする。
「桐生、あんたよくも……」
わたしがそういって桐生を見ると、なぜかその顔は真っ赤だった。
「え? なに? わたしの頭を振り回しておいて、疲れてる?」
「余計なエネルギーをつかった……。星谷には敵わないことがわかった……」
「よくわからないけど、反省してるならいいや」
桐生はそそくさと立ち上がっていう。
「企画、せいぜい頑張れよ。期待してる」
そういった桐生の顔は、笑っていなかった。
なんだか気まずそうな顔。
これは絶対に期待なんかしてないな。むしろ失敗すると思ってる。
桐生が出ていったあと、わたしはこぶしをぐっ握る。
絶対に企画動画、成功さるんだから!
企画で度胸つけて、ダンスレッスンもいつもより頑張って……。
それでライブでエンドさまより目立ってやるんだもん!
エンドさま以上の伝説になってみせるっ!
必ず桐生に土下座させてやるんだから。
「にゃんにゃんにゃーん。三毛音小珠だよ~」
わたしはそういって手を振った。
今日はいつもの生配信とはちがう。
目の前にはテーブルがあり、そこにはカップラーメン、ジャンボカツ(駄菓子)バナナオレが並んでいる。
「今日から『コンビニ商品だけでご褒美飯・三日間』チャレンジしていくよ~」
いわゆる撮影→編集の企画はやめた。
どうせなら生配信しながら企画をしようと思ったから。
雑談枠+企画ものみたいなイメージだ。
そして、企画の名前通りの内容。
コンビニの商品でわたしがご褒美だと思える商品や、食べたい商品で三日間過ごすというもの。
企画内容はシンプルだけど、小珠の好みがわかると親近感をもらってもらえそう。
そして、この企画は実は内容はさほど重要ではない。
むしろ企画内容は引き立て役だ。
【わああ、小珠ちゃんの衣装、お姫様みたーい】
【ドレスきれい。ティアラも似合ってる】
【それなのに部屋がいつも通りでギャップすごい(スパチャ三千円)】
そうなのだ。
実は、イラストレーターさんに企画の衣装を描いてもらった。
濃紺のドレスに、あちこちに小さな星が散らばったデザイン。
頭に乗っているのは、月モチーフのティアラ。
この衣装、この企画のために描いてもらったわけではない。
以前、イラストレーターさんと話したときに、「新曲のMVの衣装、ボツになったけど気に入ってたのはあるんですよね」という話を聞いて、その衣装を見せてもらったら、これがまたすごくきれいで。
これをボツにするなんてもったいない! いつかなにかで使わせてもらおう。
それを思い出して、イラストレーターさんに直接交渉したらOKをもらえた、というわけ。
こんな素敵なドレスを着られるのなら、企画は『コンビニ商品で三日間』じゃなく、『コンビニ商品でご褒美飯』にしよう、と考え直した。
つまり、これは小珠の初の企画ではあるものの、このドレスを見てほしいという気持ちが強い。
実際に飼い主たちからの反応もいいし。
背景はいつもの小珠の部屋(のイラスト)なので、普通の女子の部屋にプリンセスがいるってのはシュールでいい。



