『いきなりの配信だから、そんなに人はこないかなーと思っていたんですが』
次の日の夜二十二時にエンドさまが緊急生配信をした。
昨夜、エンドさまはSNSのアカウントで【明日の夜十時頃に緊急生配信します】と告知したのだ。
週四の配信ペースのエンドさまが、配信の曜日ではない、しかも突然の配信。
おまけにわたしとの動画が流出したあと。
もし、わたしが事情を知らないファンだったら、なにがあっても配信を聴いただろう。
本人から動画の説明があるのか、それとも何かの発表があるのか。
気になってなんの用事があってもリアルタイムで聞くだろう。
そう思ったのは、わたしだけではなかったらしい。
大勢のおむすびたちがリアルタイム視聴者の数字を爆上げしていた。
まあ、好奇心だけで聞いている人もいそうだけど……。
とはいえ、やっぱりエンドさまはすごい。
『ぼくのカラオケの動画の件、けっこう話題になってるね』
エンドさまはいきなり確信をついてきた。
例のわたしと桐生の動画は、今は完全に削除されている。
どこか別の場所でアップロードされている形跡はない。
マネージャーさんからも、そう連絡があった。
つまり、アップロードされていた時間はたった数時間。
だけど、なにせ伝説のアイドル礼地エンドのスキャンダル。
そりゃあみんな気になっているのだろうし、視聴している中には動画を観た人も多いのかもしれない。
現在、炎上はあまりしていない。
というのも、エンドさまが早い段階で、「明日、配信します」といったから。
ここで説明されるだろうから早合点はやめよう、とおむすびたちがSNSで意見を交わしているのを見た。
やっぱりおむすびたちは、常識的な人のほうが多い。
そんなことを考えていると、エンドさまはこういった。
『ぼくと話していたのは、クラスメイトです。たまたまカラオケで会ったので話しただけです。本当にそれだけ』
【まあそんな感じだったよね】【仲の良いクラスメイトに見えた】【騒ぐほどのことじゃない】【エンドさま、中の人もイケメンだった】【クラスメイトの女子だれ?彼女?】
途端にコメント欄が埋め尽くされていく。
ただのクラスメイトで偶然に会ったのは事実。
だけど、おむすびたちはこれで納得するんだろうか。
もちろん、エンドさまがいったこと以上はなにもない。それはわたしと桐生がいちばん理解している。
けれど、女子とふたりきりで話していただけでネガティブな想像をしてしまうおむしびもいるはずだ。
『ぼくはともかく、クラスメイトを巻き込んでしまったのが申し訳ない……』
エンドさまはそういい終えると黙り込んだ。
一分、二分と沈黙が支配していく。
彼は配信中にここまで無言でいたことはない。
なんだか急に心拍数が上がる。
どうしたの? 今日はおかしいよ?
すると、エンドさまがゆっくりと話し出す。
『こうなったのもぼくの責任です。なので、けじめをつけようと思います』
え、けじめ?
その言葉に嫌な予感がする。
エンドさまの声がこわばった。
わたしはごくりと唾を飲み込んだ。
『来月のライブを終えたら、しばらく活動停止しようと思います』
コメント欄がざわつく。
エンドさまの声が遠くに聞こえる。
目の前が、真っ暗になる。
うそでしょ、と口からもれた声が自分のものではない気がした。
『学校生活も忙しいし、色々と考えたいこともあるから、ちょうど良いタイミングかなと思っていました』
わたしは少しでも情報を得ようと、配信画面を見る。
コメント欄の速度が追えない。アクセス数がものすごいことになっている。
エンドさまが、活動停止……。
おれがなんとかするって、重大発表って、そういうことだったの?
わたしはエンドさまの活動停止の発表を、どこか別世界の出来事のように聞いていた。
信じたくなかった。
礼地エンドが活動停止を発表。
次の日にはSNSではその言葉がトレンド一位になった。
昨夜の、『しばらく活動停止』の発言は確かに衝撃すぎた。
おかげでカラオケ動画流出よりも、エンドさま活動停止のほうが話題になった。
むしろカラオケ動画流出なんてなかったかのように、おむすびたちもVtuberファンたちも「エンドさまが活動停止? なんで?」といい合っている。
昨夜、エンドさまの口から聞いた、「活動停止」の言葉。
あのときは別世界のように感じていたけど、こうしてSNSであちこちで話題になっていて実感する。
本当に活動停止しちゃうんだ……。
エンドさまは、もともと考えていたとは配信でいっていた。
でも本当に? 桐生の口からそんなことは一言も聞いたことがない。
本当はあの動画を撮ったのがおむすびだったから責任をとるんじゃないの?
ってゆーか、活動停止して戻ってくるの? そのまま卒業なんてこと、まさかないよね?
いろいろと聞きたいことはあったけど、電話で聞く気にはなれない。
あれこれと考えている間に朝になってしまった。
わたしは勢いよくベッドから体を起こす。
もう本人に真相を聞くしかない!
できることなら活動停止発言を撤回してほしい!
次の日の夜二十二時にエンドさまが緊急生配信をした。
昨夜、エンドさまはSNSのアカウントで【明日の夜十時頃に緊急生配信します】と告知したのだ。
週四の配信ペースのエンドさまが、配信の曜日ではない、しかも突然の配信。
おまけにわたしとの動画が流出したあと。
もし、わたしが事情を知らないファンだったら、なにがあっても配信を聴いただろう。
本人から動画の説明があるのか、それとも何かの発表があるのか。
気になってなんの用事があってもリアルタイムで聞くだろう。
そう思ったのは、わたしだけではなかったらしい。
大勢のおむすびたちがリアルタイム視聴者の数字を爆上げしていた。
まあ、好奇心だけで聞いている人もいそうだけど……。
とはいえ、やっぱりエンドさまはすごい。
『ぼくのカラオケの動画の件、けっこう話題になってるね』
エンドさまはいきなり確信をついてきた。
例のわたしと桐生の動画は、今は完全に削除されている。
どこか別の場所でアップロードされている形跡はない。
マネージャーさんからも、そう連絡があった。
つまり、アップロードされていた時間はたった数時間。
だけど、なにせ伝説のアイドル礼地エンドのスキャンダル。
そりゃあみんな気になっているのだろうし、視聴している中には動画を観た人も多いのかもしれない。
現在、炎上はあまりしていない。
というのも、エンドさまが早い段階で、「明日、配信します」といったから。
ここで説明されるだろうから早合点はやめよう、とおむすびたちがSNSで意見を交わしているのを見た。
やっぱりおむすびたちは、常識的な人のほうが多い。
そんなことを考えていると、エンドさまはこういった。
『ぼくと話していたのは、クラスメイトです。たまたまカラオケで会ったので話しただけです。本当にそれだけ』
【まあそんな感じだったよね】【仲の良いクラスメイトに見えた】【騒ぐほどのことじゃない】【エンドさま、中の人もイケメンだった】【クラスメイトの女子だれ?彼女?】
途端にコメント欄が埋め尽くされていく。
ただのクラスメイトで偶然に会ったのは事実。
だけど、おむすびたちはこれで納得するんだろうか。
もちろん、エンドさまがいったこと以上はなにもない。それはわたしと桐生がいちばん理解している。
けれど、女子とふたりきりで話していただけでネガティブな想像をしてしまうおむしびもいるはずだ。
『ぼくはともかく、クラスメイトを巻き込んでしまったのが申し訳ない……』
エンドさまはそういい終えると黙り込んだ。
一分、二分と沈黙が支配していく。
彼は配信中にここまで無言でいたことはない。
なんだか急に心拍数が上がる。
どうしたの? 今日はおかしいよ?
すると、エンドさまがゆっくりと話し出す。
『こうなったのもぼくの責任です。なので、けじめをつけようと思います』
え、けじめ?
その言葉に嫌な予感がする。
エンドさまの声がこわばった。
わたしはごくりと唾を飲み込んだ。
『来月のライブを終えたら、しばらく活動停止しようと思います』
コメント欄がざわつく。
エンドさまの声が遠くに聞こえる。
目の前が、真っ暗になる。
うそでしょ、と口からもれた声が自分のものではない気がした。
『学校生活も忙しいし、色々と考えたいこともあるから、ちょうど良いタイミングかなと思っていました』
わたしは少しでも情報を得ようと、配信画面を見る。
コメント欄の速度が追えない。アクセス数がものすごいことになっている。
エンドさまが、活動停止……。
おれがなんとかするって、重大発表って、そういうことだったの?
わたしはエンドさまの活動停止の発表を、どこか別世界の出来事のように聞いていた。
信じたくなかった。
礼地エンドが活動停止を発表。
次の日にはSNSではその言葉がトレンド一位になった。
昨夜の、『しばらく活動停止』の発言は確かに衝撃すぎた。
おかげでカラオケ動画流出よりも、エンドさま活動停止のほうが話題になった。
むしろカラオケ動画流出なんてなかったかのように、おむすびたちもVtuberファンたちも「エンドさまが活動停止? なんで?」といい合っている。
昨夜、エンドさまの口から聞いた、「活動停止」の言葉。
あのときは別世界のように感じていたけど、こうしてSNSであちこちで話題になっていて実感する。
本当に活動停止しちゃうんだ……。
エンドさまは、もともと考えていたとは配信でいっていた。
でも本当に? 桐生の口からそんなことは一言も聞いたことがない。
本当はあの動画を撮ったのがおむすびだったから責任をとるんじゃないの?
ってゆーか、活動停止して戻ってくるの? そのまま卒業なんてこと、まさかないよね?
いろいろと聞きたいことはあったけど、電話で聞く気にはなれない。
あれこれと考えている間に朝になってしまった。
わたしは勢いよくベッドから体を起こす。
もう本人に真相を聞くしかない!
できることなら活動停止発言を撤回してほしい!



